Spire(SPIR)の銘柄分析(ビジネス/収益モデル・決算まとめ)

アメリカ株個別銘柄

宇宙ベースのデータプロバイダー企業Spireの会社概要、事業領域、事業領域の市場、決算推移、株価情報についてまとめています。

PPT S-4

小型地球観測衛星を飛ばし、地球を観測、その画像データを政府や企業に提供

アメリカ空軍、NASA、シェブロンなどが顧客として名を連ねる

20年から25年の売上CAGR(年平均成長率)は100%、20年は売上$28Million(約31億円)

21年は売上$54Million(約60億円) 、25年には売上$913Million(1,004億円)を目指す

当記事は私自身の投資活動ににおいて興味のある銘柄の情報を整理する目的で作成するものであり、該当銘柄への投資を推奨するものではありません。

とある旧財閥系、日経225オールドエコノミーで投資経済性を見ている不思議紳士です。20代でアメリカ株初心者です。PFの7割はVTIですが、余裕資金で個別株に挑戦中です。

今後様々な企業の分析をしていきたいと思っています。

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不思議紳士
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会社概要

それでは会社概要について見ていきましょう。

基本情報

Spireはアメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置き、 小型地球観測衛星を飛ばし、地球を観測、その画像データを政府や企業に提供する企業で2021年にSPAC上場を果たしました。

不思議紳士
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SPAC上場とは、事業を営んでいない“空箱”の企業が上場し、その後、ベンチャー企業などを買収することで、実質的にスピーディな上場を実現する仕組みのことです。

実は日本の三井物産、伊藤忠がSpireに出資しています。

設立は2012年と新しい会社でCEOは創設者のPeter Platzerという方が務めています。

Peter Platzer氏はSpire設立前は、2010年9月から2011年9月まで資産管理会社のVegasoul Capital、LLCでシニアポートフォリオマネージャーを務めていました。さらにその以前の2007年7月から2010年12月までは投資銀行および金融サービス会社であるドイツ銀行の専有トレーダーの取締役を務めました。さらにその前、2003年5月から2007年7月までは、資産運用会社であるRohatynGroupに勤めていたということで一貫して金融関係の仕事をしてきています。

しかし国際宇宙大学で宇宙科学と管理の賞を受賞しているということで宇宙とは全く関係がなかったわけではないようです。

以下がSpireの経営陣で一番左が創設者でCEOのPeter Platzer氏ですね。

Spireは低軌道(LEO)小型衛星を打ち上げその衛星で地球上を観測し、そのデータやデータを分析するアプリケーションを政府や企業に提供しています。

あくまでSpireが行うのは地球を観測してデータを提供する部分で衛星の打ち上げはロケット打ち上げ企業のAstraやRocket labが行います。

競合としてはBlack Skyが挙げられます。

Spireのサービスを利用することで、自然環境の変化を発見したり船などのルート追跡港の混雑状況の把握航空機のルート追跡などができるようになります。

以下Spireを活用した一つの事例です。

衛星ベースのグローバル山火事監視の大手プロバイダーであるOroraTechはSpireの独自の熱赤外線カメラとデータ処理ユニットを搭載した衛星と地上ネットワークを使用して火災を検出しています。

これにより山火事のリスクがある地域を特定して監視し、山火事のホットスポットを早期に検出できるようになっており、地形図レイヤー、気象オーバーレイ、植生データ、火災リスク評価を提供し、林業セクター、緊急対応要員、保険会社の人々に提供しています。

Leading Wildfire Monitoring Provider OroraTech Partners With Spire To Launch First Satellite in 2021 - Spire : Global Data and Analytics
Leading Wildfire Monitoring Provider OroraTech Partners With Spire To Launch First Satellite in 2021

Spireは2021年3月31日の時点で110以上の衛星を軌道上に配備し、世界中に分散した29の地上でデータを衛星から受け取っています。日本にもあるみたいですね。

プロダクト

続いてSpireのプロダクトについて見てみたいと思います。

Spireのプロダクトは「Maritime」と「Aviation」「Weather」「Orbital Services」の4つのカテゴリーに分かれています。

Maritime

船舶の位置、気象条件、および世界的な海運活動に関するライブの海事データを組み合わせて、顧客が情報に基づいた決定を下せるようにするプロダクトです。

Aviation

過去の飛行データ、ADS-B追跡、および航空業務に影響を与える気象に関する最新データを提供しまするサービスです。

Weather

植物や大気に関するデータを絶えず収集して強化し、地球上で起こっている出来事を可視化し提供するプロダクトです。

2021年3月、当社の衛星は無線周波数センサーを使用して1日平均11,000回以上の情報を収集し、予測モデルは複雑な環境データをインテリジェントな洞察に抽出して、お客様がビジネス上の意思決定を推進し、予測するために使用しました

Orbital Services

上記3つのプロダクトに当てはまらない要望を出す企業や、政府なの顧客に対して独自のアプリケーションソリューションを提供するプロダクトです。

収益/ビジネスモデル・顧客

収益モデルは基本はサブスクリプションベースとなっており、顧客がライセンス料を支払うことでSpireのクラウドベースのプラットフォームにアクセスでき、データなどを入手可能となります。ただ、トランザクション量による1回限りの取引もあるようです。

サブスクリプション期間は通常1年から2年の範囲となっています。

続いて顧客ですが、アメリカ空軍、NASA、シェブロンなど150以上の顧客を抱えています。

顧客あたりの単価はしっかり右肩上がりで伸びており、NRR(Net Revenue Retention:売上継続率)は145%以上と高水準です。

なお、20年のARR (Annual Recurring Revenue:サブスクリプションによる年間経常収益) は104%で成長し、$36Mとなっています。17年からのARR推移は以下の通りで、ARRの増加ペースはtwilloやServicenowと同じペース、ShopifyやCoupaよりも早いペースとなっています。

市場見通し・規模

続いてSpireが事業を展開している市場について見ていきます。

以下それぞれ4つのプロダクトについての21年と25年のTAMが載っています。21年4つのプロダクトのTAM合計は$66Billionで25年にかけてCAGR(年平均成長率)8%で成長していき、25年には$91Billionになる見込みです。

そして天気予報部分は長期で$180~$300Billionの機会があるとSpireは述べています。(後述しますが、ここは話半分に聞いておくのがいいかと思います。)

不思議紳士
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TAMは「Total Addressable Market」の略で、ある市場の中で獲得できる可能性のある最大の市場規模、つまり商品・サービスの総需要のことです。from:ingrow

Maritime

海事産業は、これまでデジタル革命によって十分なサービスを受けていなかった産業であり、衛星からのデータを利用して今後世界中の船舶を追跡し、船主が燃料効率のためにルートを最適化したり、港湾当局が違法行為と海事規制の遵守を監視する必要性が高まる見込みとなっています。上記状況やコンサルティング会社が実施した分析に基づくとMaritimeの対応可能な市場の合計を2021年には$4Billion、2025年には$7Billionと見積もられています。

Aviation

航空規制においてADS-B(放送型自動従属監視: 航空機が衛星測位システム(GNSS)を使用し自らの位置を特定し、その機位を定期的に送信することで追跡を可能とする監視技術 )の使用は、2023年までにすべての航空機で世界中で義務付けられると予測されています。

環境への懸念面では、衛星で航空機を追跡し、移動ルートの最適化することで燃料効率を高め、炭素排出量の削減に役立ちます。

上記状況とコンサルティング会社が実施した分析に基づくと航空市場は2021年には $15Billionであり、2025年までに$22Billionに成長すると予測されています。

Weather

気象変動は年間約$3Trillionの経済的損失を生み出し、主に気候変動によって2050年までに60%以上増えると推定されています。

従来の天気予報サービスは、主に政府機関から無料で入手できる天気予報の出力に依存していると考えています。 これらのサービスは、差別化されたグローバルな宇宙ベースのデータソースと真のグローバルな数値天気予報(NWP)分析機能へのアクセスを欠いており、今後大いに改善の余地があります。

上記からコンサルティング会社が実施した分析に基づいて、Spireの経営陣は、気象データ、分析、およびソリューションの長期的な機会は2025年までに約 $300 Billion になると予測しています。

不思議紳士
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ここは少し楽観的すぎる気がしますね。上のグラフの$22Billionと思っておいた方が良さそうです。

Orbital Services

Orbital Servicesは、アメリカ政府の宇宙関係の予算の一部に対応できる可能性があります。さらに地球観測に焦点を当てた商業または民間の顧客は増加傾向にあり、小型衛星を使用する傾向が高まってきています。

コンサルティング会社が実施した分析に基づ軌道サービスを提供するためのアドレス可能な市場の合計を$33Billionと見積もっており、2025年までに$39Billionに成長する可能性があります。

なお、宇宙全体のマーケットはNTTデータが見やすい資料を公開していました。

こ宇宙ビジネスの規模は2040年に$1Trillionを超えるとなっています。

長いスパンですが、2016年から40年まで年率5.3%での成長が予想されています。

Spireが事業領域とする人工衛星を利用した観測分野の成長が年率12.4%となかでも著しいです。

SpaceXのStarlinkのスコープもこのあたりですね。

最近の宇宙市場の全体規模について調べてみると366Billionのようです。

決算情報

続いてSpireの業績内容について見ていきたいと思います。

売上があるのでPL見てみたいと思います。2020年の売上は$28Million(約31億円)でNet lossは$32.5Million(36億円)の赤字で如何にもSPACという感じのPLになっています。

ただし粗利率は20年時点で64%あり、悪くない水準ですし、19年からの売上成長率は54%とCovid-19の影響があったにもかかわらず高成長となっています。

Covid-19の影響があった20年ですが、19年比で売上が54%成長しているのはポジティブだと思いました。

なおキャッシュフローなんかは勿論マイナスです。

SPACは過去の業績をあまり見ても仕方ないので2021年以降の業績について見ていきたいと思います。

会社側の資料での売上推移は以下の通りで(小さいのでクリックして拡大頂ければと思います。)2021年に$54Million(約60億円)の売上を上げ、25年には$913Million(約1,000億円)の売上を目指しているとのことです。

売上成長率は21年が約89%22年は112%、25年でも91%を目指しており超々アグレッシブな内容になっています。

EBITDAは22年に黒字化、営業利益、フリーキャッシュフローは23年に黒字化見込みです。

不思議紳士
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EBITDAは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益のことです。 国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うためEBITDAを示す企業は多いです。

粗利率もなかなかすごく21年は66%、22年は74%、25年には91%まで持って行く目標です。(20年実績は63%です。)

ARRは以下のように積みあがっていく目標となっています。

株価、時価総額、バリュエーション、他社比較

続いて株価、バリュエーションについて見ていきます。

株価推移はこのような感じになっています。

SPACなのでバリュエーションを見る意味があるのか微妙ですが、一応こんな感じです。

時価総額:$0.9Billion

PSR:17倍

21年売上高$54Millionの場合

PSR:8倍

22年売上高$114Millionの場合

PSR:1倍

25年売上高$913Millionの場合

ちなみに他のデータ関係の企業(Snowflake、Palantir、Datedog等)や他の宇宙関連企業とのバリュエーション比較が以下で、Spireはどちらかというと安い部類に入る感じになっています。(すでに売上があるが大きいかなと思います。)

もちろん会社ガイダンスの通り成長すればの話ですが…

他のデータ関係の企業(Snowflake、Palantir、Datedog等)との成長性比較は以下です。

これを見るとSnowflakeの成長性には驚かされますね。Datedogもなかなかです。

感想

以上Spireの企業情報や、事業領域の市場、決算を見てきました。

感想としては、宇宙関連銘柄ということで非常に期待感がありますが、やはりSPACということで、どれだけ計画がしっかり実行されるかもわからないため買いは焦らずというのがピッタリかなと思いました。

引き続き上記の計画がきちんと達成されていくのかチェックしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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