ANAが1.3兆円の政府保証の融資を要請【経営は大丈夫?内容を解説】

投資全般

ANAが1.3兆円の融資を要請し、そのうちの一部を政府保証とすることを求めていることがニュースになっています。

結構皆さん目にされるていると思います。

金額が莫大すぎるし、ニュースの中身がいまいちわかりにくいと思うので

僭越ながら内容を少し解説したいと思います。

そしてIR資料を軽く紹介しつつANAの経営状況についても考えてみたいと思います。

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ニュース記事

まずニュースとなっていた記事を見てみます。

新型コロナウイルスの感染拡大による旅客需要の急減を受け、ANAホールディングス(HD)が金融機関に求めている1.3兆円の融資枠のうち一部保証を政府に要請することが分かった。実現すれば異例の措置となる。
他社も資金繰り懸念が生じており、ANAHDや日本航空(JAL)など国内航空会社でつくる定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円に達する見通し。

日経新聞

なんとなくコロナ禍の影響で飛行機が飛ばせないANAは経営が苦しいから

お金を借りたいということはわかるけど。。。という方がほとんどなのではないかと思います。

しかし

「1.3兆円の融資枠のうち一部保証を政府に要請する」

「定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円」

はいまいち完全には理解しきれない方もいらっしゃるのではないかと思います。

この辺りを解説し、後程ANAの経営状態も見ていきたいと思います。

ニュース解説

順にニュースを解説していきます。

「定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円」

まずこちらの内容です。

定期航空協会は日本のほぼすべての航空会社が加盟している寄合のようなイメージです。

どこの業界でもこういった協会はありますね。

以下の航空会社が加盟しています。(ほぼすべてと書きましたがすべてなのではと思っています。笑)

会長はANAの社長、理事はJALの社長です。定期的にポジションはANAとJALで交代していると思います。

この団体何をしているのかというと

航空燃料への税金軽減や、空港発着料の低下国や国土交通省に要請したり、

コロナ禍といった有事の際に国に支援を求めるといった

航空業界全体に関わることを日本の航空会社が集まって行っています。

定期航空協会(東京・港)が政府に求める支援額は計2兆円というのは

この航空協会が参加している「航空会社全体に対して2兆円の支援をして欲しい」と

政府に要請したということになります。

その2兆円のうち1.3兆円がANAが要請した額ということです。

「1.3兆円の融資枠のうち一部保証を政府に要請する」

1.3兆円をANAが金融機関に貸して欲しいと要請しているのはわかると思いますが

政府保証って少し聞きなれないですよね。

政府保証とは

融資の元本・利子の返済などが困難になった場合に、

全額あるいは一部について国による返済を保証することです。

今回の場合ANAが1.3兆円を借りたが、万が一倒産等で返済が不可となった場合

国がその一部の返済を保証します。という内容です。

国が返済の一部を保証することで借入への信用力が高まることが狙いです。

なぜこんなことをするのかというとANAにとって1.3兆円の借入は額が大きすぎるからです。

ANAは大企業ですが、年間の売上は2兆円営業利益は1,500億円ほどです。

仮にV字回復し来年度から同様の業績となり、このうち1,000億円を毎年返済できたとしても10年以上返済にはかかります。

(営業利益から負債を返すわけではないのは重々承知していますがここでは割愛。)

普通はこんな額の借入は金融機関が首を縦に振りませんが、

政府がANAが返済できない場合、返済を一部保証することで

金融機関から借入を行えるようにするということになります。

ANAの経営状態

ANAの国際線の減便は90%、そして国内線は20%ほどが減便となり、さらに座席は埋まっていないでしょうから、このひと月の収入は限りなく0に等しいでしょう。

いくら飛行機を飛ばさず、CAさんを休業にしても、飛行機の整備費用賃借料一般社員の人件費等固定費は掛かり続けます

その費用は月1,000億円と言われています。(from日経)

ANAの手元資金は2019年12月末時点で2,500億円です。(from IR資料)

このまま、飛行機が飛ばない状況が続き、キャッシュインがなく、アウトだけが2~3か月続いたら、あっという間に手元資金が枯渇して経営破綻です。

そうならないために、超多額の資金を借り入れて手元の資金を厚くしようという狙いがあるのです。

それくらい今の状態はANAにとってマズいということです。

なお、この1.3兆円は1年間この状態が続いた場合を想定しての借り入れ額とのこと。

月の固定費1,000億円×12か月=1.2兆円なのでピッタリ計算も合います。

羽田の枠拡張に伴う新規路線開拓や、フライング・ホヌなどの積極投資が裏目に出るとは何ともタイミングが悪いですね。。。

さらに本日の緊急事態宣言で書き入れ時であるGWも減便を余儀なくされるでしょうからより厳しくなりますね。。。

これ以上は憶測の域を出ないのでこれ以上は5月の決算報告を待ちたいと思います。

欧州では感染のピークアウトが始まっているという話もありますし、アメリカでも少し死者が減っているというニュースもあり、一縷の光が見えてきたかもしれません。

トンネルを脱するまで航空業界はどこも苦しいでしょうが何とか耐えて、

また、空に羽ばたいて欲しいですね。

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