宇宙ベースのデータプロバイダー企業Blackskyの会社概要、事業領域、事業領域の市場、決算推移、株価情報についてまとめています。
・小型地球観測衛星を飛ばし、地球を観測、その画像データを政府や企業に提供
・空軍や陸軍を含む国防総省、中東、アジア、カナダの政府機関が顧客として名を連ねる
・20年から22年の売上CAGR(年平均成長率)は128%、20年は売上$21Million(約23億円)
・21年は売上$46Million(約51億円) 、25年には売上$546Million(600億円)を目指す
当記事は私自身の投資活動ににおいて興味のある銘柄の情報を整理する目的で作成するものであり、該当銘柄への投資を推奨するものではありません。
とある旧財閥系、日経225オールドエコノミーで投資経済性を見ている不思議紳士です。20代でアメリカ株初心者です。PFの7割はVTIですが、余裕資金で個別株に挑戦中です。
今後様々な企業の分析をしていきたいと思っています。
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会社概要
それでは会社概要について見ていきましょう。
基本情報
Blacksky はアメリカ、バージニア州ハーンドンに本社を置き、 小型地球観測衛星を飛ばし、地球を観測、その画像データを政府や企業に提供する企業で2021年9月にSPAC上場を果たす予定です。
SPAC上場とは、事業を営んでいない“空箱”の企業が上場し、その後、ベンチャー企業などを買収することで、実質的にスピーディな上場を実現する仕組みのことです。
設立は2014年と新しい会社で現在CEOはBrian O’Tooleという方が務めています。
Brian O’Toole 氏は2018年11月からBlackSkyの社長を務め、2019年1月にCEOに就任しています。社長を務める前は、2016年6月からCTO(最高技術責任者)を務めていました。
BlackSkyに勤める前、O’Toole氏は、世界規模の地理空間を提供するスタートアップであるOpenWhereを設立し、CEOを務めました。さらにそれ以前は、GeoEyeという衛星画像を提供する企業のCTO(最高技術責任者)を務めていました。地理関係や衛星画像のプロフェッショナルですね。
以下がBlackSkyの経営陣ですが、CFOが元MicrosoftのCFOだったりCOO(最高執行責任者)がアメリカ空軍のエンジニアだったりします。
BlackSkyは「to build the world’s leading geospatial data and analytics platform」を会社ビジョンにしています。訳は「世界をリードする地理空間データおよび分析プラットフォームを構築する」といったところでしょうか。そして会社ミッションは 「to enable our existing and future customers to improve critical outcomes by incorporating BlackSky’s proprietary real-time geospatial intelligence and analytics into their decision-making processes at a lower total cost」としており、和訳すると「BlackSky独自のリアルタイム地理空間把握と分析をより低いコストで意思決定プロセスに組み込むことにより、既存および将来の顧客が重要な結果を改善できるようにすること」となります。
BlackSkyは低軌道(LEO)小型衛星を打ち上げその衛星で地球上を観測し、そのデータやデータを分析するアプリケーションを政府や企業に提供しています。
あくまでBlackSkyが行うのは地球を観測してデータを提供する部分で衛星の打ち上げはロケット打ち上げ企業のAstraやRocket labが行います。
競合としてはSpireが挙げられます。
BlackSkyのサービスを利用することで、敵国の施設、自社施設や自然環境などでの出来事や変化の発見、船などのルート追跡や港の混雑状況などがわかるようになります。
具体的な例として以下がHPで紹介されています。
イラン核施設の監視
BlackSkyの衛星画像により、スタンフォード大学の国際安全保障協力センター(CISAC)の研究者は、イランのナタンツの核施設での生活パターンを監視し、現場での活動や出来事をよりよく理解することが可能となりました。
BlackSkyの衛星は、CISACの研究チームが、毎日ほぼ同時に収集された1つの画像だけでなく、1日を通して複数の画像を受信できるようにしたり、バーストコレクションと呼ばれる、数分以内に最大20枚の画像のシーケンスをキャプチャし、それらをつなぎ合わせることが可能です。
これらを利用することで単一の画像ではなく、アクティビティの移動シーケンスを生成し、研究チームは施設の地下トンネルからトラックが出現するのを目撃することができたとのことです。
羽田空港の駐車スペース
BlackSkyの衛星画像を使用して、東京の羽田空港の主要施設の利用状況を確認することが可能です。 緑で示されている駐車スペースはめったに使用されませんが、赤は頻繁に使用されていることを示しています。 これを利用することで貨物の流入/流出を理解し、航空機のメンテナンス活動を監視することが可能となります。
プロダクト
続いてBlackSkyのプロダクトについて見てみたいと思います。
BlackSkyのプロダクトは「Imagery Services」と「Data, Software and Analytics」「Engineering and Integration」の3つのカテゴリーに分かれています。
「Imagery Services」
顧客にオンデマンド衛星画像ソリューションを提供するサービスです。 BlackSky独自の小型衛星とプラットフォームの組み合わせにより、夜明けから夕暮れまで衛星からの画像を提供しています。
「Data, Software and Analytics」
BlackSkyのプラットフォームを通じて、サイト監視およびイベント監視サービスと関連データ分析を提供し、BlackSkyが提供した画像などのデータを解釈できるようするプロダクトです。
BlackSkyの監視サービスは、空港、海港、鉱業およびエネルギー施設、輸送インフラストラクチャ、および国境などの特定の関心のあるサイトに焦点を合わせています。BlackSkyは、経済活動または運用活動、危機的状況、人為的または自然な変化に関する分析、報告、および警告サービスを提供しています。
「Engineering and Integration」
BlackSkyの機能を自社のシステムなどに統合して運用している顧客に対して、戦略的な研究開発の支援やエンジニアリング、統合サービスを提供するサービスです。
こちらは上記2つのプロダクトに付帯するものですね。
収益/ビジネスモデル・顧客
Rocket Labの収益は上述の3つのプロダクトを「Service」と「Product」の2つに分け売上を構成しています。 「Service」に「Imagery Services」と「Data, Software and Analytics」が含まれ、「Product」に「Engineering and Integration」が含まれます。
収益モデルはサブスクリプションやトランザクション量による契約があったりと顧客によって異なるとのことです。
目標ではありますが、「Imagery Services」と「Data, Software and Analytics」 で売上の97%、「Engineering and Integration」で3%を占める見込みです。
粗利率の目標は「Imagery Services」がMAX90%「Data, Software and Analytics」がMAX60%「Engineering and Integration」がMAX10%となっています。
国防情報局、国防情報局、連邦および民間機関にまたがる複数の米国および外国の政府機関が顧客となっています。
具体的には地理空間情報局(NGA)および国家偵察局(NRO) そして空軍や陸軍を含む国防総省、中東、アジア太平洋、およびカナダの国際的な政府機関などです。
商用の顧客は、エネルギーと公益事業、保険、鉱業と製造、農業、環境、エンジニアリングと建設、 サプライチェーン関係の顧客を抱えています。現在、商用の顧客は少ないようですが、2025年までに商用がBlackSky全体の売上の重要な部分になると会社は予想しています。
市場見通し・規模
続いてBlackSkyが事業を展開している市場について見ていきます。
以下6つの用途を挙げていてそれぞれのTAMと20年から25年までのCAGR(年平均成長率)が載っています。どの分野もかなりのCAGRになっています。
TAMは「Total Addressable Market」の略で、ある市場の中で獲得できる可能性のある最大の市場規模、つまり商品・サービスの総需要のことです。from:ingrow
Energy & Utilities $3.2Billion、CAGR:35%
漏れ、危険、侵入、盗難を検出するためのパイプライン監視や 石油とガスの埋蔵量といった在庫監視
Insurance $2.0Billion、CAGR:32%
予測される火災、洪水、自然災害へのリスク管理、保険金詐欺などへの対応
Mining & Manufacturing $2.7Billion、CAGR:32%
リアルタイム環境モニタリングの測量への適応、ピット、ストックパイル、土地利用、環境障害の変化の監視を行い生産性を向上
Agriculture $2.3Billion、CAGR:33%
作物の健康状態の監視や地域および世界の作物収量の監視と予測
Environmental $3.4Billion、CAGR:35%
気候変動や森林破壊などが天然資源に与える影響のモニタリングや災害の準備、対応、復旧をサポートするための監視と予測
Engineering & Construction $2.9Billion、CAGR:35%
サイト計画、測量、およびリソース追跡をサポートするためのプロジェクト監視監視
これら6つを合わせるとTAMは$16.5Billionとなります。それぞれが成長していくことで、25年にはTAMは$40Billionまで拡大するとのことです。
宇宙全体のマーケットはNTTデータが見やすい資料を公開していました。
こ宇宙ビジネスの規模は2040年に$1Trillionを超えるとなっています。
長いスパンですが、2016年から40年まで年率5.3%での成長が予想されています。
BlackSkyが事業領域とする人工衛星を利用した観測分野の成長が年率12.4%となかでも著しいです。
SpaceXのStarlinkのスコープもこのあたりですね。
最近の宇宙市場の全体規模について調べてみると366Billionのようです。
決算情報
続いてBlackSkyの業績内容について見ていきたいと思います。
売上があるのでPL見てみたいと思います。2020年の売上は$21Million(約23億円)で粗利は一応プラス、損益は$19.5Million(21億円)の赤字で如何にもSPACという感じのPLになっています。
Covid-19の影響があった20年ですが、19年比で売上が54%成長しているのはポジティブだと思いました。
なおキャッシュフローなんかは勿論マイナスです。
21年の1-3月のPLは以下で売上が$7Million、粗利はプラス、$169Millionの赤字となっています。売上は前年同期比で78%成長とかなり伸びてきています。
Other expenseでかなりlossが出ていますが、 Convertible Notes(既存株主から資金提供を受ける代わりに株式の購入権利を与える)発行に係る費用とのことです。
SPACは過去の業績をあまり見ても仕方ないので2021年以降の業績について見ていきたいと思います。
会社側の資料での売上推移は以下の通りで2021年に$46Million(約51億円)の売上を上げ、25年には$546Million(600億円)の売上を目指しているとのことです。
売上成長率は21年が約109%、22年は149%、25年でも41%を目指しておりなかなかアグレッシブな内容になっています。
粗利率もなかなかすごく21年は30%、22年は2倍の63%、25年には80%まで持って行く目標です。
EBITDAは22年に黒字化見込みです。
EBITDAは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益のことです。 国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うためEBITDAを示す企業は多いです。
売上の内訳、フリーキャッシュフローの見込みなど詳細は以下で営業利益、フリーキャッシュフローは23年24年にプラスとなる見込みです。
「フリーキャッシュフロー」=「営業キャッシュフロー」ー「投資キャッシュフロー」で会社側が借金の返済や自社株買いなど自由に使えるお金のことです。
株価、時価総額、バリュエーション、他社比較
続いて株価、バリュエーションについて見ていきます。
株価推移はこのような感じになっています。
SPACなのでバリュエーションを見る意味があるのか微妙ですが、一応こんな感じです。
時価総額:$1.1Billion
PSR:24倍
21年売上高$46Millionの場合
PSR:10倍
22年売上高$114Millionの場合
PSR:2倍
25年売上高$546Millionの場合
ちなみに他のデータ関係の企業(Snowflake、Palantir、Datedog等)や他の宇宙関連企業とのバリュエーション比較が以下で、BlackSkyはどちらかというと安い部類に入る感じになっています。(すでに売上があるが大きいかなと思います。)
他のデータ関係の企業(Snowflake、Palantir、Datedog等)との成長性比較は以下です。
これを見るとSnowflakeの成長性には驚かされますね。Datedogもなかなかです。
感想
以上BlackSkyの企業情報や、事業領域の市場、決算を見てきました。
感想としては、宇宙関連銘柄ということで非常に期待感がありますが、やはりSPACということで、どれだけ計画がしっかり実行されるかもわからないため買いは焦らずというのがピッタリかなと思いました。
引き続き上記の計画がきちんと達成されていくのかチェックしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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