東南アジアのオンラインゲーム、EC、フィンテックの複合企業Sea Limitedの会社概要、事業領域、事業領域の市場、決算推移、株価情報についてまとめています。
当記事は私自身の投資活動ににおいて興味のある銘柄の情報を整理する目的で作成するものであり、該当銘柄への投資を推奨するものではありません。
とある旧財閥系オールドエコノミーで投資経済性を見ている不思議紳士です。20代でアメリカ株初心者です。PFの7割はVTIですが、余裕資金で個別株に挑戦中です。
今後様々な企業の分析をしていきたいと思っています。
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会社概要
それでは会社概要について見ていきましょう。
基本情報
Sea Limitedはシンガポールに本社を置き、 主に東南アジアでオンラインゲーム、EC、電子決済を展開するの複合企業です。
インドネシア、台湾、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールの7ヵ国にて事業を行っています。
設立は2009年5月、 Garena Interactive Holding Limitedとして事業をスタートさせます。
当初はオンラインゲームの事業のみを生業とし、会社名がオンラインゲームのブランド名そのままが社名でした。
オンラインゲームの事業は順調に拡大し、2012年にはインドネシア、台湾、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールの7ヵ国に事業を展開しています。
その後2014年4月に電子決済のプラットフォーム「Air Pay」をベトナムで立ち上げ、2015年にe-commerceのプラットフォーム「Shopee」を上記7ヵ国で立ち上げます。
日本でよくCMで見かけるAir PayはリクルートのものでSeaの展開しているものとは別物です。
そしてオンラインゲームだけではなく、その他事業についても包括的な社名にすることが重要と考えたらしく、2017年4月にNYSEへ上場する際、 現在のSea Limitedに社名を変更しています。
バックには中国の大企業テンセントが大株主となっており、2017年の上場前は40%の株を保有していました。
事業領域
事業領域は Digital Entertainment 、E-commerce、Digital Financial Services3つに分かれています。
1, Digital Entertainment
Digital Entertainment事業はGarenaというブランド名で展開されています。
2009年に設立されたGarenaは、130を超えるグローバルな市場を持つ大手オンラインゲーム開発者およびゲーム配信会社です。
Garenaのプラットフォームはこのような感じで、ゲームをプレイしながらLiveをしたりChatをしたりといったことができます。上がPC、下がスマホですね。有名なゲームも見えます。
Garena自体の強みとしては、自社で開発したモバイルバトルロワイヤルゲームであるFreeFireを配信している点です。
Free Fireは、2019年と2020年に世界で最もダウンロードされたモバイルゲームで、2020年にはラテンアメリカ( アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ウルグアイ )、東南アジア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム )、さらにインドで最も売上高の高いモバイルゲームでした。
Free Fireは、2019年と2020年のYouTubeの視聴回数で、トップランクのモバイル専用ビデオゲームでもありました。
さらに、Garenaはeスポーツを主催しています。 ローカルトーナメントから、世界で最も視聴されているプロのeスポーツ大会まで、世界中でeスポーツイベントを開催しているようです。
Active User数もPlaying User数も綺麗に伸びています。
後程詳しく触れますが、このゲーム事業で稼ぎ、E-commerce、 Digital Financial Serviceに投資をしているという形になっています。
2, E-commerce
E-commerceはShopeeというブランド名で展開されています。
2015年に立ち上げられたShopeeは、東南アジアと台湾を代表するeコマースプラットフォームです。
Shopeeは自らで在庫や倉庫を抱えることなく、売り手と買い手をつなぐサードパーティーという形でeコマースプラットフォームを提供しており、毎日数千万人の消費者が買い物を楽しんでいます。
Shopeeは、月間アクティブユーザー(MAU)数、Androidでのアプリの合計時間、ダウンロード数の点で、東南アジアのショッピングカテゴリで常にトップのアプリとなっています。( インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム )
Shopeeは、2020年にショッピングカテゴリで世界で3番目にダウンロードされたアプリでもありました。最近では東南アジアだけでなく、ブラジルにも進出し、ラテンアメリカにも手を伸ばしています。
EC分野は成長著しく、20年は前年比で約160%成長している部門になっています。
そしてついに売上では20年にDigital Entertainmentをわずかに抜き、Seaのなかで一番売上が大きい部門となりました。(20年時点ではほぼ同じ売上高です。)
オーダー数も流通取引総額(GMV)も昨年から+100%以上の成長をしており、見事と言わざるを得ないです。
3,Digital Financial Service
2014年に設立されたSeaMoneyは、東南アジアの大手デジタル決済および金融サービスプロバイダーです。
テクノロジーを通じた金融サービスで、この地域の個人や企業の生活を改善することを使命としています。
SeaMoneyのサービスには、モバイルウォレットサービス、支払い処理、クレジット、および関連するデジタル金融サービスと製品が含まれます。
これらのサービスと製品は、AirPay、ShopeePay、SPayLater、およびこの地域の他のブランドで提供されています。
この部門はまだ非常に規模は小さくDigital Entertainment・E-commerceの1/33ほどの売上しかない部門となっており、今後期待が高まる部門と言えると思います。
20年の12月にはシンガポールでDigital bankのライセンスを取得しています(会社リリース)ので、Loan業務や投資関係、後払いなどにも今後取り組んでいって欲しいなと思います。
市場見通し
続いて Sea Limitedが事業を展開している市場について見ていきます。
東南アジアについて
まずSeaが事業を展開している東南アジアについて見ていきたいと思います。
東南アジアではお金を稼ぎ、そのお金を利用する労働力人口が今後も増加を続ける見込みです。
少し古い資料ですが、ASEAN( ブルネイ,カンボジア,インドネシア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム )人口の約 9 割を占める主要 5 カ国(インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア)の労働力人口は、2030 年には 3.3 億人まで増加することが予想されています。
また、インフラなどの資本蓄積や人的資本向上を通じて生産性の向上が続き、 ASEAN の潜在成長率は2030 年時点でも 4%程度を維持すると予測するされており、所得も上がっていく見込みとなっています。
東南アジアと聞くだけで成長のイメージはありますが、実際にデータをみると今後も人口の増加、経済の成長が見込まれていることがわかります。
事業領域について
Seaが展開している3つの事業領域についての市場を見てみたいと思います。
1,モバイルゲーム
ゲーム市場は他の娯楽市場と一線を画す成長をここ数年は見せています。
映画や音楽がマイナス成長、本やTVが1ケタ台の成長のなかゲームは過去5年間14%で成長してきました。
その中でもモバイルゲームは23%の成長となっています。
さらに今後、世界のデジタルゲーム市場は2020年から2026年にかけて毎年12%成長する見込みとなっています。 PRTIMESより
2, 東南アジアのE-commerce
続いて東南アジアでのE-commerce市場について見ていきます。
下の表をご覧の通り、かなりのスピードで成長し来ており、今後も堅調な成長が見込まれています。
特にこの中で圧倒的なボリュームを持つインドネシアは15年の流通額(GMV)が$1.7Billionだったのが18年には12,2Billion、そして25年には53Billionの予測となっており、18年からの7年間で4倍以上のマーケットサイズとなることが予想されています。
さらにモルガンスタンレーは以下のように述べており、非常に期待の持てる市場と言えると思います。
米金融大手Morgan Stanleyによると、現時点でインドネシアの小売業の売上全体に対するE-commerceの比率はまだ8%程度と言われているが、同社は消費者のマインドの変化な どもあり、今後5年で現在の中国並みの比率(18%)に至るとの予測を示している。
KDDI 総合研究所 R&A | 2019 年 9 月号
3, Digital Financial Service
最後にDigital Financial Servicesですが、東南アジアで15歳以上で銀行口座を持っている人は60%とかなり少なくなっています。(アメリカ、中国では95%ほど)
一方で携帯電話の普及率は非常に高く、Seaが事業を行っている国ではすべて100%を超えています。なおこのうち7割はスマホと言われています。
そのため東南アジアではe-walletが普及する土台はすでにあり、 Digital Financial Serviceの重要性が非常に高いと言われています。
さらにTransaction Volumeに占めるデジタル金融の割合は17%と非常に低い数字です。(中国では43%、アメリカでは82%)
そのため今後非常に伸びしろがある部分ではないかと思います。
最新決算情報(20年決算)
続いてSea Limitedの業績内容について見ていきたいと思います。
20年通年決算、21年業績見通し、過去5年・未来2年の業績推移の3点について見てみます。
20年決算、21年の業績は会社HPから、業績の推移はSeekingAlphaからの抜粋です。
より詳しく知りたい方は是非原典をご覧になることをお勧めします。
20年決算
20年の売上は約$4.3Billion(約4500億円)、Net lossは-$1.6Billion(約-1,800億円)となっています。修正後EBITDAは$0.1Billion(約110億円)です。
EBITDAは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益のことです。 国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うためEBITDAを示す企業は多いです。
昨年からの売上成長率は+101%と文句なしの成長となっています。EBITDAは昨年のマイナスからプラスに今年転換しています。
続いてセグメント別の売上ですがDegital Entertainmentが$2.0Billion、E-commerceが$2.2Billionと2部門で大半を占めています。Digital Financial Serviceは$0.06Billionとほぼ売上には貢献できていません。
前述の通りEBITDAはDegital Entertainmentが$2.0Billionを稼ぎだし、E-commerceとDigital Financial Serviceでそれらを使い切って成長するという感じになっています。
21年見通し
続いて会社発表の21年見通しです。
会社からのガイダンスはDegital EntertainmentのBookingとE-commerceの売上のみですが、
Degital Entertainmentが約40%の成長、E-commerceが110%の成長となっています。
E-commerceは20年も前年比で+100%以上の成長をして来年も同様の成長をたたき出せるのは素晴らしいですね。
これらを基にすると来年の売上は$7.5Billionほどとなるかと思います。
過去5年、未来2年売上・EPS推移
続いて過去5年と未来2年の売上とEPS(1株当たり利益)推移について見てみます。
未来2年についてはSeeking Alphaの予想になります。
売上は説明するまでもなく非常に綺麗に伸びています。16年の売上は$0.3Billionでしたから20年までの4年間で10倍以上になったことになります。
一方EPS(一株当たり利益)はマイナスをずっと掘っていることになります。グラフにはないですが、SeekingAlphaの予想では23年にEPSがプラスになる予想となっています。
株価、時価総額、バリュエーション
続いて株価、バリュエーション、について見ていきます。
株価の推移は以下のようになっています。若干の上下はあるものの基本右肩上がりの綺麗なチャートをしています。
時価総額バリュエーションについては米国版Yahoo Financeからデータを取ってきます。
時価総額:130Billion
PSR:30倍
(20年通年売上:$4.38Billionの場合)
PSR:17倍
(21年通年売上:$7.5Billionの場合)
PSRの高い安いはなんとも言えないのですが、成長性を考えると15~35くらいが居心地がいいような気がします。
過去のPSRはこのような感じで段々上がってきている感じになっています。
株主構成はこのような感じ。50%は機関投資家によって保有されています。Corporationsがおそらくテンセントなどだと思いますので上場時よりは割合が減っているようです。
感想
以上Sea Limitedの企業情報や、事業領域の市場、決算を見てきました。
感想としては市場も今後安定して伸びていくし、売上もかなりのペースで伸びていくことが予想されますので、非常に期待の持てる企業かなと思いました。
個人的にはDigital Financial Serviceの存在感がもう少し出てくると嬉しいなと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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