【ANA4-6月決算からみる経営状況】営業利益約1,600億円の赤字

投資全般

7/29(水)ANAが20年度第一四半期の決算を発表しました。

発表によると20年度第一四半期の決算は

売上高が対前年で75.7%/3,840億円減の1,216億円、

営業利益が1,590億円の赤字(前年は160億円の黒字)

で着地した ようです。

経理・財務の専門ではないのですが、売上数兆円規模の旧財閥系企業で勤務中である私が、ANAの決算発表に関して気になる点を見ていきたいと思います。

着目して見ていくのは

売上高、営業利益

キャッシュフロー(現金の流れ)

配当

今後の見通し

この4点です。

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売上高・営業利益

まずは一番わかりやすい売上高と営業利益から見ていきましょう。

冒頭で述べた通りですが

売上高が対前年で75.7%/3,840億円減の1,216億円、

営業利益が1,590億円の赤字(前年は160億円の黒字)

となりました。

新型コロナウイルスの影響をもろに受けた航空業界は減便を余儀なくされ、売上を稼ぐ手段を文字通り封印されてしまったので、この決算も仕方ないと思います。

国際線なんてほぼ飛んでいませんからね。

売上の減少に対して利益減りすぎじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、

航空業界はコストの構造上固定費(飛行機関係の費用や人件費、この文字だけで高そうですよね)が非常に高いので、こんなもんだと思います。

売上減がダイレクトに損益に響いてきます。

from国土交通省資料

キャッシュフロー

売上と営業利益も大事ですが、経営状況を見るためにはキャッシュフロー(現金の流れ)も非常に大事です。

現金は会社にとって血液です。いかに現金を回していくかが経営でも投資でも重要です。

そのためキャッシュフローについて見ていきたいと思います。

キャッシュフローの現状

ANAの手元の現金は19年6月の約2,199億円から約5,418億円へ大幅に増えていることを表しています。

この手元の現金5,418億円がなくなったらいくら営業利益が黒字だろう倒産です。(黒字倒産する会社は結構多いです。)

20年3月末の現金は1,360億円とかなり減っていたのでかなり心配していましたが、銀行などから資金を調達したようです。

簡単に見方を説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローはざっくり言うと、航空券の売上などによる収入です。つまり営業活動によって手元に入ってくる現金と思って頂くのがわかりやすいです。

(減価償却費などもありますがここは簡略化するために省略)

ですが今期は売上が低く、 営業活動によって手元に入ってくる現金はマイナスです。

売上よりもコストの方が多く掛かったということですね。

投資活動によるキャッシュ・フローとは航空機の取得などの支出が該当します。

手元から出ていく現金ですね。

財務活動によるキャッシュ・フローは 、社債の発行や借入などの資金調達借入金の返済が該当します。つまりざっくりいうと借金をした場合は収入となり、借金を返した場合は支出となることが多い項目です。

今期は財務活動によるキャッシュ・フローは5,137億円の収入となっていますね。

つまり今期の手元現金はほぼ、他から借りてきた借金ということです。

そのことが財政状況のところにも書いてあります。

手元現金が増えた!と単純に喜べるわけではなく、今後はこの借金を利子付きで返しながらの経営となります。

不思議紳士
不思議紳士

ちなみに営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを引いたものをフリーキャッシュ・フローといいます。

このフリーキャッシュ・フローが企業が借金の返済など自由に使えるお金です。

繰り返しになりますが、会社が成り立たなくなるのは手元の現金がなくなったときです。

仕入れ、経費の支払いに充てる現金がなければ事業は成立しません。

個人でいうところの生活費を支払う現金がなければ生きていけないのと同じですね。

配当

19年度の配当はもともと75円/株を予定していましたが無配となりました。

キャッシュフローの項目の通りですが、状況を考えると当然ですね。。。

そして次項の今後の見通しにも絡みますが、20年度の配当は未定になっています。

ほぼ100%無配だと思いますけどね。。。未定にしているのは何か意図があるんでしょうかね。

今後の見通し

コロナウイルスの影響がいつまで続くか誰にも予測がつかないため、20年度の予想は3月に引き続き現時点でも未定となっています。

あと気になるのは株価ですね。

この決算を受けて株価がどうなるのかは気になります。

売上と営業利益は惨憺たる結果ですが、手元流動性(手元の現金など)は確保されていると思います。今すぐ会社がどうこうということはなさそうです。

勿論、今後は多くの借金を返済しながらの経営になるので数年間は厳しいものになるのは必至ではありますが。

航空会社はかなり苦しい状況が続くと思いますが、何とか耐えて、また空に羽ばたいて欲しいですね。

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