アメリカの軍需企業ロッキード・マーティンの様々な情報についてまとめます。
当記事では、ロッキード・マーティンの会社概要、事業領域、事業領域の市場、決算推移、株価や配当情報についてまとめています。
当記事は私自身の投資活動ににおいて興味のある銘柄の情報を整理する目的で作成するものであり、該当銘柄への投資を推奨するものではありません。
とある旧財閥系オールドエコノミーで投資経済性を見ている不思議紳士です。20代でアメリカ株初心者です。PFの7割はVTIですが、余裕資金で個別株に挑戦中です。
今後様々な企業の分析をしていきたいと思っています。
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会社概要
それでは会社概要について見ていきましょう。
基本情報
ロッキード・マーティン (Lockheed Martin)はアメリカに本社を置く戦闘機・宇宙船等のメーカーです。
設立は1995年、ロッキード社とマーティン・マリエッタ社が合併して誕生しました。
ロッキード社自体の設立は1913年、マリエッタ社は1913年と母体まで遡ると100年以上の歴史ある会社です。
ロゴが非常にカッコいいですね。書体はマーティン・マリエッタ社のもの、星はロッキード社時代のものとのことです。
事業領域
事業領域は4つに分かれています。
のちほど決算の部分で詳しく述べますが、どの部門でもバランスよく稼いでいます。
1,Aeronautics
この部門は日本の自衛隊でも運用されているステルス戦闘機F35を筆頭に様々な航空機を製造しています。
この部門がおそらくロッキード・マーティンのイメージそのものだと思います。
F35以外にも非常に多くの種類の航空機ラインナップがあるので、興味ある方は是非会社HPをご覧になってください。
2, Missiles and Fire Control
読んで字のごとくミサイルと発射台の部門ですね。
なんと50以上の国に供給されているそう。そんなグローバルに展開されているとは意外でした。
3,Rotary and Mission Systems
こちら打って変わっては文字からは全く何をしているか掴めませんが、センサーやレーダー、そして軍事関係のコンピュータシステムを製造しています。
イージス艦のイージスシステムもこの部門です。
Rotary and Mission Systems 略してRMSは、16ヵ国で使用されているようです。アメリカ、カナダ、メキシコ、台湾、日本、イギリス、ドイツ、ポーランド、オランダ、ニュージーランド、オーストラリアなど。
見事に同盟国ばかりですね。当たり前ですが。
RMS at a glance と紹介されていた画像です。
様々なものに使われている様子。
4,Space
最後は宇宙領域です。
NASAの火星プロジェクトにもロッキード・マーティンは一枚噛んでいます。
探査機を保護するためのaeroshellはロッキード・マーティンが製造しています。
今後期待が高まる部門ですね。
市場見通し
続いてロッキード・マーティンが事業を展開している市場について見ていきます。
公益色の強い軍需産業の市場をみることに意味があるのかは微妙ですが。。。
1,Aeronautics
戦闘機市場についてです。
The fighter aircraft market is estimated to register a CAGR of over 4% during the forecast period (2020-2025)
株式会社グローバルインフォメーション 市場調査レポート「 戦闘機の世界市場:成長率、動向および予測分析(2019年~2024年) 」より
戦闘機の市場は2020年から25年までで、年率4%ほどで成長していく見通しです。
ロッキード・マーティンが製造しているステルス戦闘機F-35は、今後20年間の主要なプラットフォームとなり、老朽化したものはドンドンこちらに置き換わっていくという記載をいくつか見かけました。
具体的な数値はこのレポート概要で記載ありませんでしたが、別のレポートで$262 Billionを超えるだろうとの記載がありました。
ただし、これは中国・ロシアといった旧東側諸国も含まれており、実際ロッキード・マーティンがアプローチできる市場はこの半分$130 Billionほどではないかと思います。
なお、現在のロッキード・マーティンのこの部門の売上は$26Billionほどです。
2, Missiles and Fire Control
続いてミサイル市場です。
The global market for Missiles estimated at US$160.8 Billion in the year 2020, is projected to reach a revised size of US$207.4 Billion by 2027, growing at a CAGR of 3.7% over the analysis period 2020-2027.
株式会社グローバルインフォメーション 市場調査レポート「ミサイルの世界市場 」より
2020年のミサイル市場は$161billion、今後年率3.7%で成長していき、2027年には$207Billionになることが予想されています。
なお、現在のロッキード・マーティンのこの部門の売上は$11Billionほどです。
3,Rotary and Mission Systems
続いてセンサー・レーダー・コンピュータシステムです。
こちらはずばりの市場はないのですが、2020年から27年までにセンサー・レーダーが年率4.3%、 軍事用コンピュータが 年率6.0%で成長するというレポートがありました。
合わせて$60Billionほどの市場となるようですが、この部門はいろいろ合わさった部門のため参考程度という感じです。
なお、現在のロッキード・マーティンのこの部門の売上は$16Billionほどです。
4,Space
宇宙についてはNTTデータが見やすい資料を公開していました。
長いスパンですが、2016年から40年まで年率5.3%での成長が予想されています。
人工衛星を利用した観測分野や、通信事業の成長がなかでも著しいです。
SpaceXのStarlinkのスコープもこのあたりですね。
最近の宇宙市場の全体規模について調べてみると366Billionのようです。
なお、現在のロッキード・マーティンのこの部門の売上は$12Billionほどです。
どの領域も万遍なく成長して行くことが予想されています。特に宇宙分野では長い期間の成長が見込まれます。
最新決算情報(20年決算)
続いてロッキード・マーティンの業績内容について見ていきたいと思います。
20年通年決算、21年業績見通し、過去5年・未来2年の業績推移の3点について見てみます。
20年決算、21年の業績は会社HPから、業績の推移はSeekingAlphaからの抜粋です。
より詳しく知りたい方は是非原典をご覧になることをお勧めします。
20年決算
20年の売上は$65.4Billion(約7兆円)、Non-GAAPの利益は$7.2Billion(約8,000億円)となっています。
Non-GAAPとは米国会計基準の数値から一時的な損益などを除いた「調整後」の数値です。
昨年からの成長率はいずれも+9%ほどです。
利益率は11%ほどで、製造業の中ではかなり高い部類になると思います。
続いてセグメント別の売上です。
一番大きい部門はやはりAeronauticsで航空機の部門で、40%ほどを占めます。
あとはまちまちといったところ。成長率も偏りなくバランスがいいです。
続いてキャッシュフローと株主還元について見てみます。
20年はCashを$8,183Million稼ぎ、そこから投資などに使ったCashを引いたもの、会社が自由に使えるCash(Free Cash Flow)が$6,417Millionでした。
$6,417Millionのうち、約60%を株主還元に充てています。
具体的には$2,764Millionを配当、$1,100Millionを自社株買いに充てています。
決して無理のない範囲で手厚い株主還元を行っていると言えるでしょう。
21年見通し
続いて会社発表の21年見通しです。
売上は$67.5~68.5Billion、Non-GAAP利益は$7.4~7.5Billionです。
売上、利益ともは3~5%の成長が予想されています。
続いてセグメントごとの見通しです。
こう見るとどの部門でもバランスよく稼げていることがわかります。
過去5年、未来2年売上・EPS推移
続いて過去5年と未来2年の売上とEPS(1株当たり利益)推移について見てみます。
未来2年についてはSeeking Alphaの予想になります。
売上もEPSも非常に綺麗に伸びていることがわかります。
成長率は決して高くはないですが、コロナ禍でも成長できる点は強いと思います。
株価、バリュエーション、配当、株主構成
続いて株価、バリュエーション、配当について見ていきます。
株価の推移は以下のようになっています。いまだコロナショック前の高値は更新できていません。
軍需産業はさながら公益企業ですので、低金利の時には人気化はしなさそうというのが影響していそうです。
バリュエーション、配当については米国版Yahoo Financeからデータを取ってきます。
PER:15.5倍
(20年通年EPS:$24.3、株価$380の場合)
配当額/1株:$9.8
配当利回り:2.6%
配当性向:40%
10~30%成長のGAFAMのPERが30~40、
同じような軍需産業のノースロップ・グラマンがPER18、ゼネラル・ダイナミクスがPER17なので、成長率を考えるとまあこんなものかなという感じです。
配当がそこそこ魅力的な水準です。決算部分でも述べましたが、合理的な範囲内での配当と言えそうです。
株主構成は以下の通り。
80%近く機関投資家によって保持されています。
感想
以上ロッキード・マーティンの企業情報や、事業領域の市場、決算を見てきました。
感想としては市場も今後安定して伸びていくし、安定して成長した業績を出せており、バリュエーションも高くはなく、さらに株主還元も手厚いいい企業だなと思いました。
低金利の局面で株価は伸び悩んでいましたが、アストラゼネカやJ&Jのワクチンに懸念があり、全世界の景気回復への期待がピークを打つと見直されるのではないかと思います。
こういったサイクルもあることですし。
実際20年3月頭からは株価が回復基調に入ったようにも見えるので、これからに期待かなと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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