2026年8月19日、ANAアメックスが2009年の発行以来初となる全面リニューアルを発表しました。
一見、新ラウンジの追加やボーナスマイルなど華やかな特典が並びますが、その本質は『富裕層の徹底的な囲い込み』と『一般会員のふるい落とし』です。
本記事では、新旧スペックの比較だけでなく、この刷新から透けて見えるANAの冷酷な戦略と、9月に控える『SFC新基準』への重大なヒントを解説します。

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リニューアルの全貌:新旧スペック比較表
今回のリニューアルの最大の特徴は、一般カードの年会費は据え置き、ゴールドとプレミアムは大幅な値上げを敢行した点にあります。
まずは、3券種の新旧スペックをまとめた比較表をご覧ください。
ANAアメックス 3券種の新旧比較表
| 券種 | 項目 | リニューアル前(現行) | リニューアル後(2026年9月2日〜) |
| 一般 | 年会費(税込) | 7,700円 | 7,700円(据え置き) |
| 特典・変更点 | – | 特典内容の大きな変更はなし | |
| ゴールド | 年会費(税込) | 34,100円 | 42,900円(+8,800円の値上げ) |
| 利用ボーナス | なし | 年400万円利用で15,000マイル | |
| ラウンジ特典 | 国内主要空港ラウンジ | 羽田第2国際線「POWER LOUNGE PREMIUM」無料 | |
| ダイニング特典 | なし | ポケットコンシェルジュ20%還元(年最大2万円) | |
| プレミアム | 年会費(税込) | 165,000円 | 187,000円(+22,000円の値上げ) |
| 利用ボーナス | なし | 年600万円利用で30,000マイル | |
| ラウンジ特典 | ANA LOUNGEなど | 羽田第2国際線「POWER LOUNGE PREMIUM」無料 | |
| ダイニング特典 | 2 for 1 ダイニングなど | ポケットコンシェルジュ20%還元(年最大4万円) | |
| 付帯保険 | 海外・国内旅行傷害(自動付帯) | 利用付帯へ格下げ(2026年11月1日〜) |



新デザインは「尾翼」がモチーフ
すべてのカードにおいて、ANA機の「尾翼」をイメージした、よりモダンで洗練された券面デザインへと生まれ変わります。ステータスカードらしい高級感は増した印象です
綺麗事なしの結論:大半の人にとっては「実質値上げ」である
次に目を向けるべきは、飛行機が日本の地面にタッチした瞬間に発生する「目に見えないコスト」、すなわち空港の発着料(着陸料・停留料など)です。このコストが、日本の空港は世界的に見ても群を抜いて高額なのです。
年間決済額のハードルが一般人向けではない
「新特典が追加されてお得になった!」ようにも一見見えますが、「大半のライトユーザーにとっては、ただの大幅な実質値上げ」です。
そう断言する理由は3つあります。
① 年間決済額のハードルが一般人向けではない
新設された「年間利用ボーナスマイル」ですが、ゴールドは年400万円、プレミアムは年600万円の決済が必要です。
- ゴールド:月平均 約33万円 の決済
- プレミアム:月平均 約50万円 の決済
日々の生活費を集中させたとしても、一般の会社員が一人で到達するには極めて高いハードルです。この金額に届かない人にとっては、ただ年会費が8,800円〜22,000円アップしただけになります。
追加された高級ラウンジの場所が限定的すぎる

新特典としてアピールされている「POWER LOUNGE PREMIUM」の無料化ですが、このラウンジは羽田空港第2ターミナルの国際線エリアにしかありません。
地方空港をメインに使う方、成田発着の国際線を使う方、あるいは他社便(羽田第3ターミナル)を使う機会が多い方には、1ミリも恩恵がない特典です。
プレミアムの保険「利用付帯化」という致命的な改悪
プレミアムカードにおいて、地味ながら最も致命的なのが旅行傷害保険の「利用付帯化」(2026年11月1日以降)です。
下位カードである「ゴールド」や「一般」はすでに利用付帯となっていましたが、最高峰のプレミアムだけは「持っているだけで補償(自動付帯)」という最後の砦を守っていました。しかし、今回の改定でついに陥落。他社の高ステータスカード(JALアメックスプラチナ等)と比較しても明確なスペックダウンであり、プレミアム会員にとっては実質的な大改悪と言えます。
ANAの真の狙い:9月の「SFC新基準」との不気味な連動

では、なぜANAとアメックスはこのタイミングで、ここまで強気なリニューアルに踏み切ったのでしょうか?
背景にあるのは、当ブログでも以前解説した「JAL×マリオットの電撃提携」への焦りと、富裕層争奪戦です。JALがライフタイムステータス(JAL Life Status プログラム)の刷新で「決済額ベース」の囲い込みを強化したのに対抗し、ANAも「フライト(マイル)を回す層」ではなく、「年間数百万円を平気で決済してくれる本当の富裕層」だけにリソースを集中させる舵を切りました。
そして、この戦略は「2026年9月に発表されるSFC(スーパーフライヤーズカード)の新基準」へと直結しています。
今回、ANAアメックスゴールドの年会費を42,900円まで引き上げ、「年間400万円決済」というリトマス試験紙を用意したということは、9月に発表される新SFCの維持・獲得基準にも、「年間決済額(ANA経済圏への貢献度)」が深く関わってくる前兆に他なりません。従来の「一度修行してフライトポイント(PP)を稼げば、あとは安い年会費で一生維持できる」という甘い時代は、完全に終わりを告げようとしています。
まとめ:発表まで動くな!今私たちがすべきこと
今回のANAアメックスの刷新を見て、「入会キャンペーンが豪華だから今のうちにゴールドを作ろう」「年会費が上がるから今すぐ解約しよう」と慌てて動くのは悪手です。
なぜなら、すべての答え合わせは9月に発表される「SFC新基準の全貌」が明らかになってからでなければできないからです。もしSFCの維持に「年間のカード決済額」が必須となった場合、このANAアメックスをメインカードとして育てざるを得なくなる可能性もゼロではありません。
9月発表を座して待つといったところです。




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