言語教育プラットフォームを提供する企業Duolingoの会社概要、事業領域、事業領域の市場、決算推移、株価情報についてまとめています。
・基本無料の言語教育アプリ、有料の資格試験といった言語教育サービスを提供する企業
・ 月間約4,000万人のアクティブユーザーに40言語のコースを提供
・アプリの有料サブスクリプション料が収益の7割、広告2割。粗利率72%
・20年は売上$162Million(約178億円) で前年比128%成長!直近四半期は96%成長
当記事は私自身の投資活動ににおいて興味のある銘柄の情報を整理する目的で作成するものであり、該当銘柄への投資を推奨するものではありません。
とある旧財閥系、日経225オールドエコノミーで投資経済性を見ている不思議紳士です。20代でアメリカ株初心者です。PFの7割はVTIですが、余裕資金で個別株に挑戦中です。
今後様々な企業の分析をしていきたいと思っています。
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会社概要
それでは会社概要について見ていきましょう。
基本情報
Duolingo はアメリカ、ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置き、無料の教育ウェブサイトやアプリ、有料の資格試験といった言語教育プラットフォームを提供する企業です。
ピッツバーグはアメリカの東の方でワシントンから比較的近いところです。
設立は2011年とそこそこ新しい会社で Luis von AhnとSeverin Hackerが共同設立し、現在それぞれCEOとCTOを務めています。
Luis von Ahn氏は中米のグアテマラ出身でクラウドソーシングの発案者として先駆的立場にいることで有名であり、Duolingoを設立する前は、2007年から2009年にGoogleに買収されるまで、不正検出テクノロジー企業であるreCAPTCHAの最高経営責任者を務めていました。 Luis von Ahn氏は2020年10月以来、個人保険に焦点を当てたRootの取締役も務めているということです。
reCAPTCHAは文字ではイメージつかない方も多いと思いますが、この画像を見たら皆さんわかると思います。 botなどによる悪質なアクセスからWebサイトを守るためのシステムですね。
Severin Hacker氏はスイスのEidgenossischeTechnische Hochschule Zurichでコンピューターサイエンスの博士号を取得し、博士号を取得しています。 さらにカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスを専攻していたとのことです。
Duolingoは「to develop the best education in the world and make it universally available」を会社ミッションにしています。訳は「世界で最高の教育を開発し、それを世界中で利用できるようにする」といったところでしょうか。
教育は経済的な満足への扉を開くことができますが、それは不平等の主な原因の1つにもなっています。先進国や資産家は世界で最高の教育を受けることが可能ですが、特に開発途上国では、リソースが少ない人は基本的な教育さえ受けられない状態のところもあります。
CEOのLuis von Ahnは中米のグアテマラ出身ということもあり、上記のことを強く感じ、Duolingoを始めたきっかけになっているそうです。Duolingoはどんなに経済的状況であっても、誰もが質の高い教育を受けられるべきという理念のもと事業を行っています。
Duolingoの言語教育プラットフォームは主にアプリという形で我々ユーザーに提供されており、全世界で5億回以上ダウンロードされ、GooglePlayとAppleAppStoreの両方の教育カテゴリで最も売上の多いアプリになっています。
ちなみにGoogleでは、「Duolingo」という単語は「learn Spanish」よりも9倍頻繁に検索されているそうです。笑
Duolingoは、月間約4,000万人のアクティブユーザーに40言語のコースを提供しています。アメリカのすべての高校の外国語学習者よりもDuolingoで言語を学ぶ人の数が多く、アイルランド語やハワイ語を母語とする人口よりも、Duolingoで言語を学ぶ人が多くなっています。
プロダクト
続いてDuolingoプロダクトについて見てみたいと思います。
プロダクトとしては主に3つあり、無料のアプリ「The Duolingo Language Learning App」、有料のサブスクリプションである「Duolingo Plus」、英語能力評価テストの「Duolingo English Test」になります。
The Duolingo Language Learning App
これがメインのプロダクトで言語を学習できるアプリになります。
アプリ上で習得したい言語を選び各レッスンを受けていく感じで、各レッスンは学習者がリーディング、ライティング、スピーキング、リスニングのスキルを習得するのに役立つ、短い演習で構成されています。
短い構成ですし、XP(経験値)、streaks(連続学習記録)、crowns(レベル)などが獲得でき、ゲーム感覚で学習者に魅力的で楽しい学習体験を提供し、学習を継続する意欲を維持させる作りになっています。イラストもポップで子供が学習するツールとして向いていると思います。
日本でも無料でダウンロード可能なので、気になる方はダウンロードしてみるといいと思います。(私もダウンロードしてみました。)
ゲーム感覚でポップなDuolingoですが、効果もちゃんとあるようです。
米国外国語教育委員会(ACTFL)のテストを使った調査では、フランス語またはスペイン語の4学期を修了したアメリカの大学生と比較して、選択されたコースを完了したDuolingoの学習者は同等の習熟度スコアを獲得していることがわかり、さらに、Duolingoの学習者は、大学生の約半分の時間でそのレベルの習熟度を達成することができたということです。
Duolingo Plus
Duolingoのすべてのコンテンツは無料でアクセスできますが、サブスクリプションサービスであるDuolingo Plusは、学習者が学習体験を向上させるための追加機能を提供しています。
例えば広告の表示がなかったり、間違えた問題を繰り返し学習出来たり、学習するための体力が無制限だったりします。
Duolingo English Test
2016年に開始されたDuolingoEnglish Testは、オンライン、オンデマンドの英語能力評価テストです。 PC、ウェブカメラ、インターネット接続があれば、いつでもどこからでもテストを受けることができます。
テストは「適応型」で、受験者のパフォーマンスに応じて難しくなったり簡単になったりし、1時間以内に完了することができます。 2021年5月の時点で、テストの料金は$49です。
従来の英語能力テストは物理的なテストセンターに受験者が集まって行う必要があり、通常テストごとに数百ドルの費用がかかり、これは、あらゆる場所の受験者にとって不便です。これを解消するために作られたのがDuolingo English Testです。
これら以外にもまだ収益には貢献出来ていませんが、学習者が集まるオンラインのイベントやPodcastや学校向けのアプリや、未就学児向けのアプリなんかも提供しているようです。
収益/ビジネスモデル・顧客
Duolingoの収益モデルですが、有料のサブスクリプション収入、広告収入、そして上記プロダクトのテストなどからの収入の3つで成り立っています。
収益に対するそれぞれの割合ですが、約70%がDuolingo Plusのサブスクリプションによるもの、約20%が広告によるもの、約10%がDuolingo EnglishTestおよびその他の収益となっています。
2019年と2020年のMAU(月間アクティブユーザー数)はそれぞれ約2,730万人と3,670万人で、2019年から2020年にかけて前年比で34%増加し、21年の1Qには約4,000万人に到達しています。
そして2019年と2020年のDAU(デイリーアクティブユーザー数)はそれぞれ約520万人と820万人で、2016年から2020年にかけて前年比で58%増加し、DAU/MAU比は19%から22%に増加しています。
さらに2019年と2020年の有料サブスクライバーはそれぞれ約90万人および160万人であり、2019年から2020年にかけて前年比で84%増加し、MAUに占める割合も年々増えています。
サブスクライバーの中身も18年は1ヶ月単位の利用者が16%で1年単位の利用者は47%でしたが、20年はそれぞれ19%、71%となっており、利用者の満足度が高く、1年単位での利用者が非常に増えています。
値段設定は以下で1ヶ月だと$12.99、6か月が$47.99、1年だと$79.99になります。(iOS/AndroidではなくWeb版は少し高いみたいです。)
市場見通し・規模
続いてDuolingoが事業を展開している市場について見ていきます。
まず、デジタル学習全体についてですが、 GSV Venturesによると、2019年のデジタル学習市場は$160billion(176億円)の支出があり、全世界の教育支出に占める割合は2.3%にすぎません。
世界的にモバイルインターネットユーザーの数が2019年末の38億人から2025年までに50億人に増加すると予測もあるなかでオンライン学習への移行が加速しています。
さらにCovid-19のパンデミックはオンライン学習への根本的なシフトを引き起こし、その影響は今後持続する可能性があります。 GSV Venturesは現在、デジタル学習が2026年までに教育市場の支出の11%に達すると予測しています。これは、2019年から2026年までのCAGR(年平均成長率)26%に相当します
そしてその中の言語学習の世界市場も大きく成長しており、オンラインに移行しています。 HolonIQによると、オンラインとオフラインの両方の言語学習に対する消費者の総支出は、2019年には$61billionでしたが、2025年には$115 billionに増加し、この期間のCAGRは11%となる見込みです。
そしてオンライン言語学習は最も急速に成長している市場セグメントであり、2019年の$12 billionから2025年には$47 billionに成長すると予測されており、この期間のCAGRは約26%であり、2025年の言語学習に対する総消費者支出の41%がオンラインになるとを予測されています。
オンライン学習、言語学習、オンライン言語学習のいずれの市場でも非常に大きな成長が見込まれています。
決算情報
続いてDuolingoの業績内容について見ていきたいと思います。
20年のRevenue(売上)は$162Million(約178億円)、Gross profit(粗利)は$116Million(128億円)、Net loss(損失)は$16Million(約17億円)の赤字となっています。
粗利率は72%ほどと高水準です。
19年の売上は$71Million、Gross profit(粗利)は$50Million、Net loss(損失)は$14Millionの赤字だったため売上は+128%の成長、粗利は+132%の成長と驚異的な成長となっています。
21年の3月までの決算も横に載っていたのでそちらも見てみます。
21年1QのRevenue(売上)は$55Million、Gross profit(粗利)は40Million、Net loss(損失)は$13Millionの赤字となっています。
20年1Qの売上は$28Million、Gross profit(粗利)は$20Million、Net loss(損失)は$2Millionの赤字だったため売上は+96%の成長、粗利は+100%の成長となります。
続いてキャッシュフローについてです。
20年の営業キャッシュフローは$17Millionのプラス、フリーキャッシュフローも$14Millionのプラスとなっています。
「フリーキャッシュフロー」=「営業キャッシュフロー」ー「投資キャッシュフロー」で会社側が借金の返済や自社株買いなど自由に使えるお金のことです。
株価、時価総額、バリュエーション
こちらは情報出次第更新します。
続いて株価、バリュエーションについて見ていきます。
株価推移はこのような感じになっています。
バリュエーションは以下のように株価上限の場合$4.38Billionの時価総額となる見込みです。その場合のバリュエーションは以下の通りです。
時価総額:$4.38Billion
PSR:27倍
20年売上高$162Millionの場合
PSR:20倍
21年1-3月売上高×4=$220Millionの場合
サブスクリプション形式で粗利率も70%超え、成長率も100%近い企業で人気化が予想されますので時価総額は$7Billion~$10Billionくらいで以下を見るとPSRは30~50になるのではないかなとと思います。
感想
以上Duolingoの企業情報や、事業領域の市場、決算を見てきました。
感想としては、オンライン学習はトレンドですし、言語学習も今後の重要性は変わらないと思いますので、トレンドに乗ったいい企業なのではないかなと思いました。
Covid-19の影響で20年はかなり売り上げが伸びているのでこのトレンドが続くのか注目かなと思いました。
どのくらいのバリュエーションになるのか楽しみです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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