今日の朝ANAがコロナウイルスで需要が激減している国際線を中心に不採算路線を削減する方針を明らかにしました。
元の需要に戻るまで数年掛かるというのが定説となりつつあり、この方針は企業として仕方ないと思います。
ANAの国際線路線一覧を把握したうえで削減の対象となりそうな路線について考えてみたいと思います。
ニュース記事
ANAホールディングス(HD)の片野坂真哉社長は朝日新聞のインタビューに応じ、 新型コロナウイルスの影響で需要が激減している国際線を中心に、不採算路線を削減する方針を明らかにした。
今後、具体的な削減路線を詰め、新しい事業計画を7月末にも公表するとしている。
朝日新聞デジタル
コロナウイルスの影響があっても無くても不採算路線は削減していくのは営利を求める企業として当然なので昨今の状況を考えると当然といえるでしょう。
今後の航空需要について、コロナ前の想定に比べて、「今年度末でも国内線で7割、国際線で5割にとどまる」とANAは見ているようですから。。。
われわれ顧客としては残念ですが、路線の削減などで体力を回復して貰い、需要が戻った暁には再開に期待しましょう。
ANA国際線路線一覧
まずANAの国際線一覧を見ていきましょう。
今年7月~8月に現時点で運行される予定の路線一覧が以下になります。
※は成田から羽田、羽田から成田への移管。※は新規就航、増便
どちらもこの20年3月の路線発表
北アメリカ(11都市、16路線)
まずは北アメリカ路線です。
成田⇔ロサンゼルス | 羽田⇔ロサンゼルス(2便) |
成田、※羽田⇔サンフランシスコ | ※羽田⇔サンノゼ |
※羽田⇔シアトル | ※羽田⇔ワシントンD.C. |
成田、羽田⇔ニューヨーク | ※羽田⇔ヒューストン |
成田、羽田⇔シカゴ | 羽田⇔バンクーバー |
成田⇔メキシコシティ | 成田⇔ホノルル(2便) |
羽田⇔ホノルル |
サンノゼは聞きなれないかもしれませんが、シリコンバレーの中心都市です。
成田から羽田に移管したことを見るとビジネス客からの需要が厚そうな路線ですね。
ヨーロッパ(12都市、12路線)
続いてヨーロッパです。
羽田⇔ロンドン | 羽田⇔パリ |
羽田⇔フランクフルト(2便) | 羽田⇔ミュンヘン |
成田⇔デュッセルドルフ | 成田⇔ブリュッセル |
羽田⇔ウィーン | ※羽田⇔ストックホルム |
※羽田⇔ミラノ | ※羽田⇔イスタンブール |
※羽田⇔モスクワ | ※成田⇔ウラジオストク |
新規就航も含め12都市に乗り入れています。
流石はヨーロッパに強みを持つスターアライアンスの一角ですね。
ただし、今回の発表で新規就航路線もどうなるかわかりません。しかし、新規就航に当たってかなり向こうの国と折衝もあったことを考えると簡単に取りやめたくはないはずです。
オセアニア(2都市、2路線)
オセアニア路線は2路線です。去年西オーストラリアの都市パースに新規就航しました。
羽田⇔シドニー(※2便)
成田⇔パース
東南アジア(12都市、18路線)
続いて東南アジアです。
※羽田⇔デリー | 成田⇔ムンバイ(インド) |
成田⇔チェンナイ(インド) | 成田⇔バンコク |
羽田⇔バンコク(3便) | ※成田⇔ハノイ |
成田、※羽田⇔ホーチミン | 成田⇔プノンペン(カンボジア) |
成田⇔ヤンゴン(ミャンマー) | 成田、羽田⇔クアラルンプール |
成田⇔シンガポール | 羽田⇔シンガポール(2便) |
成田⇔ジャカルタ | 羽田⇔ジャカルタ(2便) |
成田、羽田⇔マニラ |
ジャカルタ路線ガラガラって記事をよく見る気がしますが、2便も飛ばしているんですね。バンコクの3便は驚きました。
東アジア(14都市、27路線)
続いて東アジアです。中国に結構幅広い路線を持っています。
成田⇔瀋陽 | 成田、関西⇔北京 | 羽田⇔北京(2便) |
成田、関空⇔大連 | 成田、※羽田、関空⇔青島 | 成田⇔武漢 |
成田⇔成都 | 成田⇔上海(浦東)(3便) | 羽田、関西⇔上海(浦東) (2便ずつ) |
羽田⇔上海(虹橋) | 成田、関西⇔抗州 | 成田⇔厦門 |
成田、羽田⇔広州 | ※羽田⇔深セン | 成田、羽田、関西⇔香港 |
成田⇔台北(松山) | 羽田⇔台北(松山)(2便) | 羽田⇔ソウル(金浦)(3便) |
意外だったのがソウル(仁川)には飛ばしていなかったこと。乗り継ぎ需要はありそうですが、アシアナに一切託しているんでしょうね。
削減となりうる路線考察
続いて削減となりうる路線を考察してみたいと思います。
以下条件に当てはまる路線は削減の対象となる可能性が高いと思います。
①成田、羽田の2路線がある
どちらかの路線を削減しても就航都市数に影響はないことから最も可能性があると思うのがこの条件です。
ANAは日本のエアラインで国際線就航都市数No.1を謳っており、就航都市数はあまり減らしたくないという考えがあると思います。
成田、羽田両方がある路線は需要が多い路線だと思いますが、国際線の需要は5割に留まるとの見通しなのですから
片方の路線を残しておけば需要には対応できるということになります。
この条件に当てはまるのは以下路線です。
成田、羽田⇔ロサンゼルス | 成田、羽田⇔サンフランシスコ |
成田、羽田⇔ニューヨーク | 成田、羽田⇔ホノルル |
成田、羽田⇔バンコク | 成田、羽田⇔ホーチミン |
成田、羽田⇔クアラルンプール | 成田、羽田⇔シンガポール |
成田、羽田⇔ジャカルタ | 成田、羽田⇔マニラ |
成田、羽田⇔北京 | 成田、羽田⇔青島 |
成田、羽田⇔上海(浦東) | 成田、羽田⇔広州 |
成田、羽田⇔香港 | 成田、羽田⇔台北(松山) |
正直成田は首都圏からですらアクセスが悪いのでこれらは羽田へ一本化してもいいと思いますね。(A380のホノルル便以外)
続いて削減の対象となる可能性があるのは
②3月に毎日から曜日、期間限定と運行が縮小した路線
です。
これら路線はコロナウイルス前から需要が少なく、3月時点で運航の縮小が決まっていますから今後の需要もあまり期待できないことでしょう。対象路線は以下です。
成田⇔プノンペン | 成田⇔シンガポール |
成田⇔バンコク | 成田⇔クアラルンプール |
成田⇔ジャカルタ | 成田⇔香港 |
羽田⇔香港 |
香港はコロナウイルスが少し沈静化してもデモが鎮静化していないので、需要は低迷していることでしょう。
キャセイパシフィックとかどうしているんでしょうね。
そして最後は
③成田、関空路線
です。
3月にも成田路線を羽田に移管したりと成田からの移管を進めています。
成田にいまだ残っている路線はそこまで収益性は高くないことが予想されます。
また関空路線も羽田、成田と比べると収益性はあまり高くないことでしょう。
これら路線は減便の対象などとなるかもしれません。
当てはまるのは以下路線です。(②該当路線は省略)
成田⇔メキシコシティ | 成田⇔デュッセルドルフ |
成田⇔ブリュッセル | 成田⇔ウラジオストク |
成田⇔パース | 成田⇔チェンナイ |
成田⇔ムンバイ | 成田⇔ハノイ |
成田⇔瀋陽 | 成田、関空⇔大連 |
成田⇔武漢 | 成田⇔成都 |
関空⇔青島、抗州、上海(浦東)、香港 |
やはり並べてみるとうーん。。。ってなる路線が多いですね。
まとめ
以上ANAの国際線路線縮小リリースと路線一覧、そして
削減の対象となりそうな路線を考えてみました。
削減の対象となりそうな条件である上3つを全て満たすのは
成田⇔シンガポール
成田⇔バンコク
成田⇔ジャカルタ
成田⇔クアラルンプール
成田⇔香港
となりました。
これら路線は減便が濃厚かなと思います。
それぞれ羽田路線もありますし、
シンガポール、バンコク、ジャカルタはそれぞれシンガポール航空、タイ国際航空、ガルーダインドネシア航空がANAと提携しており、
コードシェアもしているので、ANAとしての運航便は減らすのではないかと思います。
香港、クアラルンプール線はどうでしょうね。キャセイパシフィックとマレーシア航空、JALとワンワールドの主戦場の路線なので
減便しすぎると客を完全に取られてしまうので考えどころかもしれません。
われわれ顧客としては路線廃止ではなく極力減便に留めてもらいたいところですが、企業としてコストカットは仕方ないと思います。
路線の削減などで体力を回復して貰い、需要が戻った暁には再開に期待したいところです。
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